クリシェとは、フランス語で「決まり文句」の意味だそうですが、その名の通り、定番お決まりのコード進行で、「コードの構成音の一部を、半音〜1音ずつ変化させること」です。同一コードであることが原則ですが、そうでないこともあります。メジャーコードのクリシェでは、通常、①I度音が低下するタイプ、②5度音が上昇するタイプ、③3度音が上下するタイプの３通りで、通常、トニックのIのみ。マイナーコードのクリシェでは、通常、I度音が下降するタイプで、④IImの場合と、⑤Im（あるいはVIm）の場合との２通り。前者は長調でのIImで使用されるパターンで、適度な哀愁感ですが、Im（あるいはVIm）のクリシェは、短調の悲しげな雰囲気がぐんと引き立つ感じです。そのため、長調の曲で使用されても、クリシェのところは平行調（短調）のような感じがします。
また、2種類以上のクリシェが出てくる曲も多く、ドリカムの「LOVE LOVR LOVE」では3種類のクリシェが登場します。また、クリシェと他の定番進行（カノン進行、JPOP王道進行）の組み合わせも、さすが王道でおもしろいです。

(1)メジャーコードのクリシェ
①IのI度音が低下するタイプ。
gakkiii.hatenablog.com

②Iの5度音が上昇するタイプ。
③Iの3度音が上下するタイプ
gakkiii.hatenablog.com

(2)マイナーコードのクリシェ
④IImのI度音が下降するタイプ
gakkiii.hatenablog.com

⑤Im（あるいはVIm）のI度音が下降するタイプ：
gakkiii.hatenablog.com

(3)2種類以上のクリシェが出てくる曲
IとIIm:
Butterfly（バタフライ） / 木村カエラ - コード進行のお勉強ノート
 君は天然色 / 大瀧詠一 - コード進行のお勉強ノート

IとVIm:
サムシング Something / The Beatles - コード進行のお勉強ノート

IとIImとVIm:
LOVE LOVE LOVE / DREAMS COME TRUE - コード進行のお勉強ノート

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2020-01-31

クリシェ（Im（あるいはVIm）の1度音下降型）

総論コード進行クリシェ邦楽洋楽

Im（あるいはVIm）のクリシェを見直してみました。ベース音が1度音から半音づつ順次下降するタイプで、短調の悲しげな雰囲気がぐんと引き出される感じです。そのため、長調の曲で使用されていても、クリシェのところは平行調（短調）のような感じがします。また、Im - Im(M7) - Im7 - Im6 - Im(6b) （あるいはVIm - VIm(M7) - VIm7 - VIm6 - VIm(6b) ）と書くと簡単ですが、ベース音が下降することが多いため、Im - Im/VII - Im/VIIb - Im/VI - Im/VIb と分数コードで表記されたり、Im - VIIaug - IIIb/VIIb - VIm7(b5) - VIb(M7) （あるいはVIm - VIbaug - I/V - IV#m7(b5) - IV(M7) ）という風に表記されることが多いため、クリシェなのかどうか、一見わかりにくくなっていますが、こういうことを知った上で、コードを見ると、コード進行が理解しやすくなります。また、VIIaug をV/VII 、VIm7(b5)を IV/VIに置き換えた「Im - V/VII - IIIb/VIIb - IV/VI (あるいはVIm - III/VIb - I/V - II/Vb) 」と進行するパターンも、頻出です。これは、Imばかりじゃないので、「クリシェ」と呼ぶべきかどうか、よくわかりませんし、通常のクリシェよりも、悲しさが緩和されます。